【 目が見えない彼と 】

BALI島のウルワトゥに着いた日、
旦那さんと一緒に散歩がてら、
海までテクテク歩いて行きました。

Bingin Beachは私達の泊まる部屋から少し離れたところにありました。

旦那さんと個人的に繋がっている人の中には知っている人もいるかも知れませんが、
実は彼の目は今、もうかなり見えていません。

理由は遺伝との事ですが
詳しくはわかっていません。

ただ、現状お医者さんからみても、
“失明していないのがなぜなのか。”
と、いうレベルの様です。

奇跡的に見えている状態。

実は出会った時からよく、
すぐ近くにいる私を見失ったりする人だったのですが、

呑気な私は
彼は背が高いので、彼の首位置よりだいぶ小さい私が視界に入っていないのだろうと思っていました。

でもそうではなくて、
視界に入るはずの範囲が狭まり
見えてなかったのでした。

そして、それは年々酷くなっていっていました。

前回から半年間会わない日々が続いていましたが、その間何回か彼から

“見えなくなるのが怖い”

というメッセージをもらっていました。

いざ、会ってみると確かに、
6カ月前から比べてもかなり見えていないように私も近くにいて感じました。

視界が狭くぼやけているものの、
明るいところでの普通の生活はOK。ギリギリ見えているよう。(難アリなシーンもある)

問題は、夜。

暗い場所、光が少ない場所が
本当に本当に見えないようなのです。

見えないってどういうことか、
皆さん真剣に考えたことありますか?

想像してみてください。
目を閉じて。

怖いですよね。
見ないのではなく、
見えないのです。

自分の部屋の中を歩くのだって大変です。

見えないのも怖いけど
“見えなくなる”っていう体感はもっと怖いんじゃないかと思います。

そんな彼が見えている間に、
なるべく沢山の事を一緒に見て、
共有したいという想いもあり、

旅が好きな私達なので、
沢山の国に一緒に訪れたいと思い
今回も彼の住むタスマニアではなく
2人とも行ったことがないバリ島に行ってみようと思いました。

バリのBingin Beachでは私の大好きなSUNSETを一緒に見ました。

私がSUNSETが大好きなのを彼も良く知っていたので、
調べて連れて来てくれました。

言葉にならないくらいの美しい夕焼けを海辺で眺めました。
空一帯が青からオレンジ、ピンク、紫、グレーと鮮やかすぎる色の空間に包まれ、柔らかい海風と共に私達も大自然に包まれたような感覚でした。

と、その直後。

「モウシワケナイ ダケド、オレガミエナクナルマイ、カエロウ」
(申し訳無いんだけど、俺が見えなくなる前に帰ろう)

と、彼は言いました。

私はまだイマイチよく意味がわかって居ませんでしたが、その直後に思い知ることになります。

Bingin Beachから家に帰るには、
信じられないほどの山道を登らないと帰れませんでした。
さすがのインドネシアの大自然。
本当に、少し登れば息が切れるような急な急な道です。
普段運動してない人はあの道を帰るのは無理じゃないかな?
と、思うくらいです。

そして問題なのはなんと
電灯がほぼない!!のです。

それに私は気がついていませんでした。
SUNSETが終わる=黒い真っ暗闇に包まれると言うことです。

道といっても舗装されてる訳ではなく、どの道も似ている為(道というか階段と坂)電灯なしでは目が見える私でも方向がわからない程でした。
いや、むしろ電灯があってもわからないかもしれないくらいの、
かなりのややこしく険しい山道でした。

案の定
山の中旬まで来て道を間違えてしまい巨大迷路の中にいるような、立派な迷子状態に。

日はどんどん暮れ、紫の空は深い黒に近づいて、いよいよ見えなくなりました。

彼は予想していたのか、懐中電灯を持参しいて、それで足元を照らし、一歩一歩確認しながらヨタヨタ歩きました。

危なっかしすぎるので私が先に立ち、スマホのライトを使って先を照らしながら彼の手を引き、ヨタヨタ2人で登っては…
行き止まり。

道を変えて登っては…行き止まり。
また道を変えてフラフラしながら登っては…また行き止まり…。

ダメ。
道わからない。

不安がよぎりました。

え、、、
もしかして本気の迷子⁇

本気の本気の迷子⁉︎

大人2人で、
インドネシアの山奥で、本気の迷子。

私日本人、彼はオーストラリア人。2人ともここでは立派な外国人。

山の途中に住んでいる現地人の
インドネシア訛りの強い英語、
あんまり聞き取れない。

山、登り慣れてない。
脚かなり痛い。

でも、行き止まりだからって、
これから降りるのはもっと大変。

彼、目見えてない。

…どーする….

でも、私より彼の方が見えなくてもっと怖いはず。

そう思って、不安は出さずに、
大丈夫もうすぐ、もうすぐ♪
と、明るく進み続けました。

迷いに迷った結果、
なんとか来た道を見つけ、帰る事はできましたが、
バリ島はタダでさえ暑く、激しい山道を登ったり降りたり、また登ったりで2人とも汗びっしょり、
足腰の筋肉はプルプルしていました。

なんとか部屋に着くと
2人とも疲れ果ててスイッチが切れたように眠りました。

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この事は

「目が見えない彼とこれから生きること」
を実感する、私にとっての最初の出来事になりました。

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旦那さんの目はいつ見えなくなるのか、
それともこのまま見えなくならないのか、
治す方法があるのか、
原因がなんなのか、

わかりません。

でも、だからといって人生は普通に続くし、私達の夫婦関係も続きます。目が見えなくなったら終わりじゃないんです、当たり前だけど。

もし、大切な人の目が見えなくなったら、貴方はどうしますか。

パートナーとして出来る事は何があるでしょうか。

私の答えは、
その日が来ても終わりじゃない。
それなら、見えるうちには後悔なくやりたい事をただ、今まで通りにやり続けて欲しいということでした。

それがまた次の道を創るはず。

日常は当たり前じゃない。
健康は当たり前じゃない。
一緒にいられることは当たり前じゃない。

明るい時も、暗い時も。
強い時も、弱い時も。
晴れの日も、雨の日も。

ないものを数えないで
今、在るものに幸せを感じられる人でいられますように。

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